祖母のこと
明けましての新年の挨拶にふらりと
久しぶりに祖母のところへ
しばらく見ないうちに
またいくぶん年をとっていて
けれどもやっぱりなんだかんだ
幼い頃からの祖母のイメージのままで
それと同じことを
祖母もわたしにきっと感じているのだと
思いながら
祖母に話しかけてみるけれど
母の言葉は聞き取れても
聞き慣れないわたしの声は
祖母の耳には届いていないに違いなくて
それでも聞き返すことはせずに
会話を続けていくのは
祖母の諦観と優しさで
何を話すのかではなく
ただ会いに来る
その場の時をひとときを
ともに過ごせれば
何をしても話してても
ただただ嬉しいのだと
何気ない、同じことの
ループ会話に耳を傾けながら
祖母に教えてもらう
多分、祖母の感心も意識も
もうこの世界にはあまりなくて
時間の感覚もだいぶなくなり
たくさんのこれまでの過去の思い出と
おぼろげであいまいな
冬の晴れ間の日差しの中のような
そんなところにいるのだと思う
年をとることは
はじめての経験で
祖母自身、こんなに年をとった自分なんて
と、他人事のように
感じているような節がある
それは両親からも感じられるし
わたしもその内そう思うようになるのだろう
それにしても
身内がこの世を去るとき
みんながみんな
わたしのことを気にとめて
心配して去っていく
意識がしっかりしているときなら
現状みればさもありなん
と納得できるけれども
この世よりあの世のほうが
近しくなっているときの
最期の声がそれというのは
さもありなんともならん
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