海図と視座
海図を見せてもらった
見せてもらったというか、せがんで見せてもらった
視座の話をしていたときから
ずっと頭から離れなくて
海図には県境が書かれていないことを初めて知る
焦点をあてているところが違うから
いつも目にしている地図とは全く違くて
世界を把握する見方がぐるっと変わる
日本国よりも海外の方が近い、ぐっと
だから、そこに住んでいる人たちは
日本とかいう括りじゃないところに意識がある
辺境、県境、国境
あわい境目には裂け目がある
たゆたいみたいなグレーゾーン
あの世とこの世とか、そういったような
混沌としたところ
冷たい風と雨の中
生まれて初めてフェリーに乗っての移動
甲板に出ている人は誰もいなくて
ウィンドブレーカーのフードかぶりながら
ずっと海を見ながら
どこかにふっと行きたくなっても
いちいちフェリーに乗って移動しなくちゃならないなんて
なんて不便なんだろう
こんなところでわたしは生きていけないや
って思ってた
そう思っていたはずなのに
海図からの日本や世界の見方
船に乗っての移動のことを聞いていたら
陸路移動しかわたしの頭にはなかっただけで
ちょっと見方を変えただけで
不便と感じていたはずのことが
一瞬にしてぐるりと変わる
なによりぐっときたのは
境目だからこそのあいまいなグレーゾーンの自由さ
そこに惹きつけられた
海の音聞きながら
フェリーに乗る、視座の話を聞く前の前日の夜
江戸から明治への変遷期、中央集権国家などについて書かれている書物
孤島コミューンという本を読みふけっていた
そもそも国とは何なのか
国家とは、自治とは、国民とはということが昔から釈然としなくて
この本を読んで新しい風を自分の中に取り込む
それを取り込んでからの
地平線の先にある本土を眺める
それからの視座の話
0コメント