吹上奇譚 第一話

物ごころついた頃から
読めもしないのに
本のページをめくっていて
誰に教わったわけでもないのに
小学校にあがるかあがらないかの頃から
何かしらをずっと書き啜っていた

誰かとかかわること
友達と遊んだりすること
みんながしているとき
わたしはずっとわたしの世界の中にいた

他の人と交わっていなかったから
それが普通だと思っていた
というか周りに興味がなかった

通知表に、もっと他の人と関わるように
と、書かれていて
はじめて、周りの世界に目を遣った

いろいろとやかくいわれるのが面倒くさいから
目立たない程度に周りと混じってみた
けれども、テレビを見る習慣がなかったから
みんなが話していることが
ちっともわからなかった

今も昔もそんなに変わっていない

変わったことといえば
今は他者と関わりたいと思っているところ、か

なぜか、今日、ずいぶんと久方ぶりに
物語が書きたいなって思った

新月の願いを書き啜っていて
自分の中にある世界観を
具体的な言葉で表現するには
わたしには限界があるから
物語に転写したいからなんだろう

その世界に近いから
久しぶりに読みたくなった物語

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