うめしごと

母が梅ジャムを作っていて
「ああ、もうこの季節がやってきたのね」
となって、ふらっと早朝、散歩がてら梅の様子を見に行くと
青葉の間でたわわに見え隠れしている彼ら

見ようとしないと見えないくらい
まだ葉と同化している色合い

梅干しには完熟したものがいいとわかりつつも
ついつい手が伸びてしまう

寝ぼけ眼の無防備なままできてしまったので
身体中蚊にさされながらも
蚊にさされるということは
わたしの身体の血は彼らにとって有益なものであるのだ!
皮膚が痒くなったりすることも
「ああ、生きてるんだな、自分」
と感じさせてもらいながら、無心で梅をもぐ

帰ってから、さて、青梅の焼酎漬にでもしようかな
いや、梅酵素にしようかな
とかなったけれども
やっぱり、しばらく置いて追熟させて
梅干しを作ることに

二、三年前に、父が定年後の暇つぶしで適当に遊びながら始めた
開墾からの土地なのだけれども
久しぶりに訪れたら、枯れ木のようだった
梅の木や柿の木、栗の木などがすくすくに

今年の栗の花の最後の香りを嗅ぎながら
いつの間にか畑の様相にまでなっているところなどもあって
ふらふらしていると
ぽつぽつ雨が降りだしてきたので退散

ちいさな土地で、それぞれ一本とかの数だけれども
四季折々に実りがあって
1人や、ひと家族分くらいなら
豊かな実りを毎年与えてくれるくらいのものはとれるだろう

ここ最近、近くの土地は売りが行われていて
新しい家がたくさん建ち始めているけれども
売ればいいのにと、いわれたりもしているらしいけれども
いっときのほんのわずかなお金よりも
終わることなく、いつまでも惜しみなく
恵みを与え続けてくれる土地
それにかえられるものなんてない
って、思ってる

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